どちらの写真を美しく感じますか?感性を磨こう
出典:http://aquariumbus.com/ga.html(画像上)https://tabizine.jp/2017/06/02/139946/(画像下)
左は水槽内の写真、右は池の写真です。
人工か天然かどうかを知ったとき、写真への感想は変わりましたか?
ちなみに僕は「なんだ水槽なんか」となりました(笑)
なぜそう感じるのか、はっきりとした理由は言語化できません。見た感じの美しさが大差ないものを、人工でも作ることはできますから。
ただ、右の水景色を生み出した生態系の美しさ、強靭さ・雄大さをどこか感じているような気がします。
生態系は個々が相互依存しながら成り立つ緻密なシステムです。
なにかトラブルがあっても、自力で再生する強さやどっしりとした安心感に惹かれているかもしれません。
本能で僕らは自然のすごさや美しさを知っている気がします。
【生態系を理解し、自然の本質を信頼】
街中に暮らしていると実感しにくいですが、僕ら人間は自然の一部であり、自然に生かされています。
現代は自然をコントロール・征服しようという考え方ですが、僕ら生き物は自然の中であるがままにいることが本来の在り方です。
無理に自然を都合の良いようにコントロールしない。自然の本質を信頼し、ついていけば間違いはないと思います。環境に負荷をかけすぎた暮らしには限界が来ています。でも自然に触れずにいると感性はどんどん鈍り、僕らが生態系の一部だと忘れていきがちです。そのツケがいまの環境問題に回っています。
自然を征服し負荷をかけるのではなく、自然と調和し、その恵みを享受する在り方がより重要になってくると思います。
雄大な自然に触れて、感性を磨くごとがこれからの時代を生きていくうえで重要です。僕らはもともと自然に生かされている生き物だということを思い出し、自然と調和する在り方にシフトしていきましょう。
【大自然に飛び込む】
僕は外に出るのが面倒くさいインドア派だったので、大自然に触れる機会が少なかったですが、8月に姫路にある無人島に行ってきました。
剥き出しの岩岸、真っ青な海、強烈な陽ざし。人の手があまり加わっていない環境は、少し気圧されるものを感じるほどでした。
波と遊んで海を感じたり、フィンをつけて泳げば魚の気分で泳ぎまくったり、海の圧倒的なスケールを想像したり・・・、リラックスして自然を感じるのがめちゃくちゃ新鮮でした。
かなり感性を広げることができた気がします。
都会にいると無意識に感じていた窮屈感。都会は僕らが作り出した一つの場で、世界の全てではありません。都会さえも包んでいる自然のことを知り感じると、多少しんどさを感じても、僕らを生かしてくれる自然への安心感からか、へっちゃらになります。
無人島にいきましょう!自然を感じましょう!
無人島キャンプ *来年は8月16日~18日予定(以下リンクは今年分です)
earth-vision-mujintou2018.peatix.com
経済活動と環境保護のジレンマで悩んでいる人へ『サステイナブルなものづくり ゆりかごからゆりかごへ』まとめ
経済活動と環境問題は対立する。経済を発展させるためには、環境破壊は仕方がない。環境を守るためには経済活動は縮小、便利な生活は我慢しなければいけない。
そんな風に感じている方いませんか?
僕もそう思っていました。
今も節水のために手洗いで洗濯したり、こまめに電気を消し、冷房を少し我慢したり・・・。「もったいない」を実践してきました。
地道な節制の積み重ねだと考え、こまめにしていますが、正直1人がいくら節制をしても社会は変わりません。節制することは自己満足なのではないかと思いつつ、自然環境に負荷をかけないように、どんなアプローチをとればいいか悩んでいた状況で、この本に出会いました。
けっこう新鮮でした。
この『サステイナブルなものづくり ゆりかごからゆりかごへ』。
「ゴミ」はなくすことができる。
モノの生産量を減らすわけではありません。高いコストをかけてリサイクルするわけでもないです。
産業の在り方をデザインしなおすことで、そもそも「ゴミ」の概念を無くすことができるというわけです。
この本の各章をまとめています!(リンク先へ飛びます)
~各章~
- 序章 「ゴミの概念をなくす」
- 1章 「ゴミ」は産業デザインから生まれる
- 2章 「現代の環境対策、エコ効率の弊害」
- 3章 「 経済成長VS自然保護 両立のヒントは生態系にあった」
- 4章 「ゴミ」を循環させる産業デザイン
- 5章 「人と自然のニーズを満たす 地域レベルのサステイナビリティ」
【自然の循環、多様性と調和する在り方】
自然の循環システムと同じように、モノづくりや建築など産業も循環されるようにデザインしなおす考え方がかなり好きでした。
自然を尊重し、調和する在り方って大事だと思います。
土地ごとの違い(資源やエネルギーの流れ、習慣、気候、生態系など)と、そこに住む人たちのニーズ、好みに合わせた多様なデザインを創り出すことを著者は提唱しています。
いまは均一なデザインばかりで効率化ばかり追い求めています。目先の利潤を追い求め、使わなくなったら捨ててゴミにする大量生産・大量消費の在り方です。土地ごとの多様性を技術や化石燃料でムリヤリ押し込んで無視するようなやり方では、いずれそこの自然やエネルギーは疲弊します。持続可能な暮らしはできません。
【インパクトをより効果的に与えるには、システムを変える】
よく買い物は投票だといいますが、確かにそうだと思います。何を選択して、何にお金を与えるのか。めちゃくちゃ地道ですが、産業の在り方に影響を与える有効な一つの方法です。
ただ、このペースでは刻々と地球環境にダメージは貯まっていきます。より大きなインパクトを与えることを早くする必要が迫っています。
インパクトを与えるには、暮らしを支えるシステムを変えることが一番有効だと思います。
草の根運動などボトムアップで、人の価値観に影響を与えていくことも重要ですが、暮らしを支えるシステムを変えるほうが、よりダイレクトに素早く暮らしに影響を与えるからです。
インパクトを与える方法なども、今後ブログで発信していきます。
ぜひ一緒にムーブメントを起こしていきましょう!!
- 作者: ウィリアムマクダナー,マイケルブラウンガート,岡山慶子,吉村英子,William McDonough,Michael Braungart,山本聡,山崎正人
- 出版社/メーカー: 人間と歴史社
- 発売日: 2009/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 54回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
人と自然のニーズを満たす 地域レベルのサステイナビリティ『サステイナブルなものづくり』第5章
【まとめ】
◆多様性を豊かにすることで、暮らしも豊かにする
◆地域レベルのサステイナビリティを考慮したデザインで、人と自然のニーズを満たす
多様性は自然な在り方。
どんな生き物もほかの生物に依存しながら、生態系を維持するためになんらかの役割を担っています。
樹木は微生物が作り出す養分を吸って、酸素や水を提供してくれます。
何かを得れば、何かを戻す。生態系から切り離された都市では感じにくいですが、そんな相互依存の関係で僕らは生きています。
そして多様であればあるほど、生態系や地球はより豊かに生産的になります。
多様性に反し、均一化を求める経済活動、生活をしていると、どこか疲弊して、必ず無理が出てきます。
(第2章の「エコ効率」での、効率化のために均一に栽培されるトウモロコシの例のように)
生態系に限らず多様性を豊かにすることは、弾力性(レジリエンス)を高めます。
僕らの発電システムや経済システムも多様化させることで、なにかトラブルが起きたとしても、いろいろな状況に対応することができるわけです。
東日本大震災で原発がストップしたとき、エネルギーが使えなくなり東京一帯もストップしました。
一つのシステムに集中すれば、それが使えなくなれば終了です。
発電ひとつとっても、いろいろな発電システムをつくれば、どれか発電が止まったとしても、電気を供給できます。
例えば太陽光や風力電力をさらに普及させれば、風が強い時期は一番安く電力を使える風力発電を利用する。みたいなこともできちゃうかもしれません。
【地域レベルのサステイナビリティで、人と自然のニーズを満たす】
多様性を僕らの産業システムに活かすためには、多様性を受け入れ、調和することが重要。
暮らしを自然の流れと結びつけることが原則です。
地域レベルのサステイナビリティを考えることがヒントになります。
ざっくりいうと、その土地が持つ要素を理解し、僕らの産業システムや経済活動を、その土地の資源やエネルギーの流れ、習慣、ニーズ、好みなどに合わせるということですね。
◆その土地に適したものは何か?
◆その土地に在るものをどう活かすか?、
◆その土地の産業と生態系が豊かになるにはどうすればいいか?
例えば、化学薬品を用いるときは、それが水質や土壌を汚染する可能性が無いかを考えるのではなく、いかに栄養を与えるかと考えたり・・・
また、製品デザインでいうと、マス・カスタマイゼーションも有効です。
マス・カスタマイゼーションとは、大量生産に一部オーダーメイドの要素を取り入れた生産方式。
これをデザインに取り入れることで、商品の価格や品質を保ったまま、パッケージや製品を地域ごとの事情や好み、伝統に合わせることができるようになります。
一口で洗剤といっても、硬水と軟水に応じて違う種類の粉末や固形ペレットが必要です。また、選択を川の岩場などで行っている地域では、洗剤がそのまま水源に流れてしまうことを考慮することも必要。
川辺で岩に衣服をたたきつけて選択しているインドの女性たちが、洗濯機用にデザインされたザラザラした洗剤を、指でふりかけて使っていることにとある洗剤メーカーは注目しました。彼女たちにとって、洗剤は高価で一度に少量ずつしか買うことができなかったからです。そこでそのメーカーは川に流しても影響の少ない洗剤を開発し、それをどこでも簡単に開けて使えるよう小型のパッケージに入れ、低価格で売るようにしました。
自然とのつながりを大切にしながら、土地ごとのニーズを満たせるようなデザインは効果的です。
そこに均一性はなく、多様なデザインがあります。
そんなデザインが広がれば、最終的に人の文化的ニーズも自然や土地のニーズも満たすことができます。
人にも自然にも持続可能な暮らしが可能になるということですね。
- 作者: ウィリアムマクダナー,マイケルブラウンガート,岡山慶子,吉村英子,William McDonough,Michael Braungart,山本聡,山崎正人
- 出版社/メーカー: 人間と歴史社
- 発売日: 2009/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 54回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
トランジション藤野に見た 持続可能なコミュニティのヒント
【人の価値観により影響を与えるのは、ボトムアップのアプローチ】
環境運動として、政策や産業廃棄物の規制に関するデモや主張が行われていますよね。
政治・経済のトップに訴えかける方法も一つの手段ですが、持続可能な社会を実現するにはボトムアップで働きかけるのがより効果的だと思います。
なぜならボトムアップのやり方のほうが、人々の暮らしに近いところで働きかけられるから。
社会を変えるには、人の価値観・考え方をシフトさせるのが近道です。
各界トップに働きかけて攻めるのもいいですが、むしろボトムアップのほうが、僕らの暮らしに近いところで行われるので、共感を呼びやすいというわけです。
さらに暮らしの中で変化を起こせば、暮らすだけで環境運動・発信ができて、持続しながら行える強みがあります。
今回、トランジション藤野に行ってきて、コミュニティ創りのヒントを見つけてきました
【トランジション藤野とは】
日本で現在数十か所あるトランジションタウンの一つが、トランジション藤野。
トランジションタウンとは、ピークオイルと気候変動(地球温暖化)という危機を解決するために、市民の創意と工夫、地域の資源を最大限に活用しながら脱石油型社会へ移行していくための草の根運動です。
新宿から電車で一時間強のアクセスで、自然いっぱいです。
【藤野出身の若者が創る「そらにわ」】
「そらにわ」というお祭りにもお邪魔してきました。
出店やアーテイストの催しで多様な表現があり、老若男女が集まる楽しい空間でした。
驚いたのは藤野出身の若者が集結して創ったというところ。
藤野ではゆるいつながりがあり、「そらにわ」のような楽しい企画があれば戻ってこれる関係性があるそうです。
常にがんがんイベントを開き、人を集めているわけではなく(いまの時期は特にイベントもすることなく、落ち着いている時期だそう)、情報共有ができるゆるいつながりを保っているそうです。
就職で藤野から出ていく若者もそこそこいるようですが、楽しそう、やりたいことがあるからいつでも戻ろうと思える。それぞれが共感でつながる自発的なコミュニティの姿がありました。
【共感でつなぐ持続可能な暮らし】
暮らしの在り方をシフトさせるにはコミュニティが必要。
自分の暮らし方を変えるのは、始めようと思えばすぐにやれます。
山奥にこもって世俗から離れた暮らしをしたりとか。
でも、人の暮らし方に変化を起こすには、コミュニティの力が必要です。
コミュニティは創っても、無くなるときはあっという間です。
コミュニティを持続させるには、共感でつながる関係性が重要。
コミュニティとして常に一緒にいる必要はありません。
藤野のようにゆるいつながりの中で、ポジティブな感情でつながりながらムーブメントを起こす。そんなコミュニティの在り方もあります。
環境運動を起こして、政治や経済のトップに訴えかけるのもありですが、人の価値観により強く影響を与えるのは、暮らしに訴えかけるボトムアップのアプローチです。
暮らしに近ければ近いほど、習慣や感情に影響を与えやすいからです。
持続的なコミュニティを形作るためのヒント。
藤野から与えてもらった良い訪問でした。
*次に藤野へ行くときは住人の方にインタビュー等して、持続可能な暮らしの在り方について詳しく伺う予定です!
持続可能な社会実現のビジョン&本ブログについて
【なぜブログを始めたか】
持続可能な社会を実現するための仲間探しと、そんな仲間に役立つ情報発信。
持続可能な社会を実現するためにやることって、山ほどありますよね?
エネルギー問題、気候変動、ゴミ問題、食糧問題、水質汚染、土壌侵食、森林減少、生態系の破壊などなど。
問題一つ一つでも解決が難しいですが、グローバル化のもとそれぞれの問題が複雑に絡まりあっています。
もう何から手をつければいいのやら・・・って感じです。
小学校2年生のころ、1秒ごとにテニスコート20面分の森林面積が減っているというニュースや年々増えていくレッドリスト上の絶滅危惧種を見て、なんて取り返しのつかないことをしているんだろうと衝撃を受けたのを覚えています。
以来、環境問題に関心を持つようになり、気候変動や森林問題など環境問題の現状について調べていました。
そして学生のころ、水質浄化の技術提供、環境洗浄、有機農業などをやろう!と思い、環境汚染に関する授業を受けたり、ゴミ拾いのボランティアをしていました。実際にゴミ拾いをやってみて、効果の限界を感じました。
ゴミ拾いや環境技術の開発、植林など一つ一つのアクションは確実に環境問題改善に貢献します。
ただ、 「本当に環境問題全体を解決する一手になるのか」というところを考えると、それでいいのか・・・?と疑問でした。あくまで表面化している現象への対症療法ではないかと感じたからです。
本当に持続可能な社会の実現のため、全体に波及するインパクトを与えるアクションはなんだろう?と。
自分が何に取り組めばいいのかがわからなくなりました。
同じような課題、悩みを持っている方の役に立つきっかけになればと思い、ブログをはじめました!
【技術開発だけでは環境問題は解決しない 人の価値観にアプローチする】
環境問題は環境浄化の技術が発達すれば、解決すると思いますか?
僕はそう思いません。価値観が変わらないと根本的には解決しないと考えています。
汚い水をきれいにできるようになったとしても、際限なく水を使い続ければいずれ限界は来ます。
欲望のままに際限なく消費していけば、技術が消費の許容量を増やしてくれても、その許容量を超えるでしょう。
火星を人間が住めるようにするテラフォーミングもありますが、僕は考え方としてナンセンスだと思います。研究や技術開発をすることは大切ですが、資源・エネルギーを使い切れば、別の場所に移動するという在り方は持続可能ではありません。地球上で持続可能な暮らしを実現できないのに、そんなやり方を続けていけば、人の暮らしは成り立たなくなっていきます。
一番力を入れるべきなのは、価値観・在り方をシフトしていくこと。
極論、持続可能な暮らしをできるような価値観・在り方にシフトすることができれば、環境を回復させる技術の開発は必要なくなるのではないでしょうか。
いまの経済システムは、GDP増加を追い求め利益追求が最優先の価値観で動いています。自然や人の健康にどれだけ悪影響を与えないようにする配慮は二の次です。
でも、例えばですが、GDPに代わる新たな指標ができればどうでしょうか?
人・自然を含めた全体の益を測る地球益のような指標がメインになれば、社会は地球全体を考慮した持続可能な経済活動をするようにシフトしていくのでは?
僕の最終ゴールは、僕らが人を尊重するのと同じように、自然・地球も尊重して大切にする価値観を広め、持続可能な暮らしにシフトさせていくことです。
そのためにやるべきことは山ほどあります。
まず、人の暮らしに働きかけるには歴史、宗教、価値観、経済、思想、土地ごとの文化、産業などを知る必要がありますし、環境問題、自然科学、技術のことも理解しなくてはいけません。
人の暮らしに働きかけるには、その働きかけに共感してもらう必要があります。
共感してもらうには、草の根運動的に自分が実践する姿を見せるのと、なぜやるのかのストーリーを伝えることが重要です。
ブログでは、環境問題についてはもちろん、歴史、宗教、価値観、経済、思想、土地ごとの文化、産業、自然科学、技術などの情報発信。持続可能な社会を実現するため、僕が実践するアクションについて発信していきます。
持続可能な社会実現を志す方がいらっしゃったら、ぜひ一緒にやっていきましょう!
「ゴミ」を循環させる産業デザイン 「サステイナブルなものづくり」第4章
【まとめ】
◆地球は閉じて完結している循環システム。太陽光以外は地球内で循環する
◆技術的栄養素と自然的栄養素を循環させれば、ゴミをなくすことができる
【テクノスフィアの概念で、ゴミを0にする産業システムを】
バイオスフィア(自然界の循環)とテクノスフィア(産業界の循環)がうまく回るようにすれば、ゴミを0にできます。
つまり、生物的栄養分と技術的栄養分を循環させるようにするというわけです。
そもそも僕たちが生きている地球はクローズドな循環システム。
地球上の物質はすべて最大量が決まっていて(厳密にいうと、太陽光エネルギーと隕石は宇宙から入ってくるため、最大量は増える可能性がある)、物質が循環せずに使えなくなるようになると、僕らの資源は減っていき自分たちの首を絞めることになります。
もともとは自然システム内だけで、エネルギー・物質の循環は完結していました。
太陽光を浴び、植物は光合成で酸素を放出→植物と動物の間で食物連鎖が起きる→動植物が死ぬと土に還る→死体は土に栄養分を与え、植物を育てる。といった非常にざっくりですが、このように循環は回っていました。
これがバイオスフィア(自然界の循環)。自然はうまく循環をしてシステムを回してきたんですね。
けど、産業革命以降急激に技術・テクノロジーが発展し、製造物の生産量も激増。
地球上に自然システムに加え、大きな産業システムもできあがりました。
製造物を作るための原材料やエネルギーが「技術的栄養分」として、重要な存在になったわけです。
いまの文明生活を支えるためには、技術・テクノロジーが必要で、たくさんの技術的栄養素を利用しなければなりません。いまの産業システムはどんどん技術的栄養分を消費し、このままでは底がついてしまいます。
自然システムのバイオスフィアにならって、僕らの産業システムもテクノスフィア(技術的循環)を創り出す必要があるわけですね。
自然的/技術的栄養素を循環できるように産業をデザインすれば、「ゴミ」はゼロにすることができます。
常に循環し続けるようにするには、製品は自然的栄養分となるように生分解する素材で作るか、もしくは産業界にとっての貴重な技術的栄養分として、テクノスフィアの代謝内にとどまることができるような人工素材でつくるか、どちらか2つの方法でやっていけばいい。
ただ現状、循環システムを創る際の一番大きな障害は、使い終わった製品が利用可能な素材として、回収できないようにデザインされていることです。
昔の革靴は植物抽出の安全な薬剤を使ってなめしていました。用済みとなった靴は捨てても生分解されたし、燃やしても問題ありませんでした。しかし効率化の結果、現在はなめし剤に安価なクロム性のものが利用されています。いまの革靴は燃やすと有毒ガスが出るようになり、生分解もされなくなりました。
革靴は燃えないゴミに分類されているのはご存知でしたか?つまりそういうことですね。
もともとは革靴は「自然的栄養分」として処理可能だったが、いまは自然的栄養分として使えない「燃えないゴミ」になってしまったわけです。
製品が自然的/技術的栄養分として利用できないようになっているので、適切な「リサイクル」が浸透していないというのが現状。製品が「ゴミ」になるまでの期間を延ばす「ダウンサイクル」しかできていません。
現状、ダウンサイクルだと費用もかかるので、再利用しようとするより、新しく作るほうが安く済むようになりました。
企業も利益を出すため、ちょうど買い替えタイミングを見計らって製品寿命が来るように作られ、新しい製品の商品が進むように仕向けられている。
使い捨てが当たり前になり、どんどん「ゴミ」が増えていきます。
【製品ではなく、サービスを得ればゴミはなくなる】
自然的栄養分と技術的栄養分をしっかり分別することができれば、テクノスフィア(技術的循環)の中で「アップサイクル」して高い品質を維持しながら再利用・循環させることができます。
そこでマクダナー氏が提唱しているのは「サービス製品」の概念。
製品をサービスと捉える概念で、例えば、テレビそのものを購入するのではなく、「テレビを1万時間視聴する」というサービスを購入するという考え方です。
テレビを購入→テレビの寿命が終える→素材に解体し別の製品もしくはテレビに作り直す→テレビを購入というサイクルができあがります。
製品の素材は再利用もしくは別の製品に作り直すことで循環させ、僕らは製品が提供してくれるサービスを受け取る。「ゴミ」を出さないまま、僕らはサービスを利用することができるというわけです。
そうすれば、違う世界ができあがる。
- 作者: ウィリアムマクダナー,マイケルブラウンガート,岡山慶子,吉村英子,William McDonough,Michael Braungart,山本聡,山崎正人
- 出版社/メーカー: 人間と歴史社
- 発売日: 2009/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 54回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
経済成長VS自然保護 両立のヒントは生態系にあった 『サステイナブルなものづくり』第3章
【まとめ】
◆自然のシステムは、「より少なく」ではなく「より多く」を望む原則で動く
◆エコ効果のデザインで、経済と自然の成長を両立させることができる
【産業の成長と自然の成長】
産業の成長と自然の成長にそれぞれどんなイメージを持っていますか?
自然や子供の成長は美しく健やか。
産業の成長は僕たちの生活を便利で快適にしてくれる一方、環境保護主義者から見るとガンであり、資源の濫用と文化や環境の崩壊につながるとして疑問視されています。
なぜでしょうか?
その違いは生態系と密接につながっているかどうかにあります。
樹木は生態系のシステムから孤立しているのではなく、密接かつ生産的につながっています。
樹木が成長する中で果たす役割は様々で、
・動植物に食べ物を提供
・二酸化炭素を吸収し、酸素を生産
・土壌を育み安定させる
・死ぬとき、蓄えていたミネラル分を土に還す
そして周りの生物たちと、なんらかの形でお互いを支えあうように機能し、生態系を支えています。
樹木(自然)が成長すればするほど、生態系全体を豊かにし活力を与えてくれます。
一方、産業は生態系から孤立しています。
ショッピングモールを増やすことは短期的には職場を増やしたり、地元の経済を潤わせるが、交通渋滞、アスファルトで覆われた地面、公害、ゴミの増加を招く。
本当に誰もが望んでいるのは、クオリティオブライフの向上だと思います。
皆さん豊かに幸せに暮らしたいですよね?
僕も産業革命より前の時代に戻りわけじゃありません。
便利な技術・テクノロジーのおかげで、いろんな情報を得れるし、好きなことをできる時間もできる。
こうやってブログも書けなくなりますし、絶対に嫌です(笑)
じゃあどうすればいいのか?
健康や環境を守る「正しいこと」をする。
産業やシステムを「正しく」拡大させていきましょう。
【No,エコ効率、Yes,エコ効果】
エコ効果とは、問題点を少なくしていくことではなく、正しく物事に取り組むことによって、製品、サービス、システム全ての局面をよくする概念。自然からヒントを得ています。
生物が作り出すものは「ゆりかごからゆりかごへ」の原則で循環し、自然のサイクルに従って地球に還元されます。
自然システムのすごいところは、「より少なく」ではなく「より多く」を望むところといえます。
もし自然が、人間の考える効率化でデザインを始めたら、植物の花の数は減り果実として自然に還元される栄養分は減るでしょう。
樹木の数も酸素やきれいな水の量も少なくなり、生命の多様性は失われ、創造性や喜びも減ってしまう。
それも自然システムは「ゆりかごからゆりかごへ」の原則で循環するような在り方でデザインされているから。
いまの製造サイクルは「生産→廃棄」でゴミが出ます。
そしてどんな製造プロセスでも、製造プロセスで廃棄物が出ます。
でも、「ゆりかごからゆりかごへ」の原則をデザインに活かせば、これまでの「生産→廃棄」のサイクルを吹き飛ばし、「生産→利用→再生産」のサイクルに移行することができます。
僕らは生態系の一部。
生態系に生かされていると理解し、自然をコントロールしようとする考え方から卒業しよう。自然システムと尊重しながら付き合っていく在り方にシフトすることが緊急かつ重要なテーマになる。
マクダナー氏は「ゆりかごからゆりかごへ」の原則を実践するために、バイオスフィア(自然界の循環)とテクノスフィア(産業界の循環)がうまく回るようなデザインを始めていくことを提唱しています。
「バイオスフィアとテクノスフィア ゴミを出さないデザインの在り方」第4章はこちら
- 作者: ウィリアムマクダナー,マイケルブラウンガート,岡山慶子,吉村英子,William McDonough,Michael Braungart,山本聡,山崎正人
- 出版社/メーカー: 人間と歴史社
- 発売日: 2009/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 54回
- この商品を含むブログ (1件) を見る