「ゴミ」は産業デザインから生まれる 『サステイナブルなものづくり』第1章
【まとめ】
◆いまのデザインの根底に、自然は征服すべき対象という考えがある
◆効率化を追求し、均一化・画一化を進めた結果、人と自然の健康が悪くなる
◆現代は無限のエネルギー(太陽光)ではなく、貯金(石油)を切り崩して生活している
【産業革命から生まれた、現代産業の価値観】
いまの経済活動の在り方は効率化と利潤追求が最優先ですよね。
その歴史は産業革命時代にまで遡ります。
ご存知の通り、産業革命では工業化が進み、製品生産量が従来の比較にならないほど増加しました。
「より多く」の原則で、どんどん効率化が進んでいきます。
また、自然は征服すべき対象であったため、自然の生態系、多様性は産業拡大のために無視され破壊されていきました。
自然を自分たちの都合の良いように壊し、コントロールしようとしてきたわけです。
自然は征服・コントロールすべき対象であり、より多く生み出すために産業を拡大するという根本は現代産業でも変わっていません。
いまでは未熟製品の氾濫、各地生態系を無視した画一的な製品・産業デザイン、ゆりかごから墓場までのデザインモデルといった課題が。
生態系や僕らの健康にかなり影響を与えています。
ゴミに出される家具やテレビ、衣服はもともと貴重な原料から生産されています。生産するために費用と手間をかけたもので、見方を変えれば何百億円にも相当する有形資産です。
でも、そんな貴重な資産もゴミ捨て場に連れていかれ、埋め立て地に処分されます。
なぜなら、いらなくなったものは捨てないといけないから。
本当にそうでしょうか?
産業として、より多く売り、利益を得たいから。いらなくなったもの、古くなったものはゴミとして捨てるようにデザインされています。
「ゆりかごから墓場へ」という考え方ですね。
海のプラスチックごみが魚の量を超えるみたいなニュースもあるように、ゴミ問題は深刻。
そもそもいらなくなったものは捨てずに、再利用するようにデザインすれば、わざわざゴミに捨てることはしなくて済むのではないでしょうか。
【産業革命が生み出した産業デザイン】
未熟製品とは、人間および生態系の健康を考慮してデザインされていない製品のこと。
代表的なのは、大量生産される洗剤です。
国や地域によって水の性質は違いますし(硬水・軟水)、どこに家庭排水が流れていくかは考慮されていません。
洗剤の化学物質が生態系に影響を与える可能性もあるし、その土地の水との相性が無視されている。
土地の地域条件や慣習を無理やり押さえ込む考え方が根本にあるデザインといえます。
その土地の自然さを、都合の良いようにコントロールするには、エネルギーが必要。
そしてそのエネルギーは化石燃料から得ています。
化石燃料は有限です。
産業革命以前は主に太陽光や風力など自然エネルギーで産業、農業など行っていましたが、産業革命以降は石油、石炭など化石燃料がメイン。
現代は貯金(化石燃料)を切り崩して、生活しているようなものです。
力ずくで得たエネルギーで、無理やり人間の都合の良いようにだけコントロールしようとするには限界がある。
結果として、地球温暖化や人・自然の健康に影響を与えるライフスタイルが定着するようになりました。
目先の利益を追求して、安価さを最優先する。健康は二の次。という産業デザインができあがっているわけです。
この産業デザインの中にいる以上、意図しないうちに人や自然の健康に悪影響を与えることになります。
ただ、産業発展の弊害に対して、なにも対応がされていないわけではありません。
次に現代ではどのような対応策がとられているのか見ていきましょう。
- 作者: ウィリアムマクダナー,マイケルブラウンガート,岡山慶子,吉村英子,William McDonough,Michael Braungart,山本聡,山崎正人
- 出版社/メーカー: 人間と歴史社
- 発売日: 2009/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 54回
- この商品を含むブログ (1件) を見る