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「ゴミ」を循環させる産業デザイン 「サステイナブルなものづくり」第4章

【まとめ】

◆地球は閉じて完結している循環システム。太陽光以外は地球内で循環する

◆技術的栄養素と自然的栄養素を循環させれば、ゴミをなくすことができる



【テクノスフィアの概念で、ゴミを0にする産業システムを】

バイオスフィア(自然界の循環テクノスフィア(産業界の循環)がうまく回るようにすれば、ゴミを0にできます。

つまり、生物的栄養分技術的栄養分を循環させるようにするというわけです。

 

そもそも僕たちが生きている地球はクローズドな循環システム

地球上の物質はすべて最大量が決まっていて(厳密にいうと、太陽光エネルギーと隕石は宇宙から入ってくるため、最大量は増える可能性がある)、物質が循環せずに使えなくなるようになると、僕らの資源は減っていき自分たちの首を絞めることになります。

 

もともとは自然システム内だけで、エネルギー・物質の循環は完結していました。

太陽光を浴び、植物は光合成で酸素を放出→植物と動物の間で食物連鎖が起きる→動植物が死ぬと土に還る→死体は土に栄養分を与え、植物を育てる。といった非常にざっくりですが、このように循環は回っていました。

これがバイオスフィア(自然界の循環)。自然はうまく循環をしてシステムを回してきたんですね。

 

けど、産業革命以降急激に技術・テクノロジーが発展し、製造物の生産量も激増。

地球上に自然システムに加え、大きな産業システムもできあがりました。

製造物を作るための原材料やエネルギーが「技術的栄養分」として、重要な存在になったわけです。

いまの文明生活を支えるためには、技術・テクノロジーが必要で、たくさんの技術的栄養素を利用しなければなりません。いまの産業システムはどんどん技術的栄養分を消費し、このままでは底がついてしまいます。

 

自然システムのバイオスフィアにならって、僕らの産業システムもテクノスフィア(技術的循環)を創り出す必要があるわけですね。

 

自然的/技術的栄養素を循環できるように産業をデザインすれば、「ゴミ」はゼロにすることができます

常に循環し続けるようにするには、製品は自然的栄養分となるように生分解する素材で作るか、もしくは産業界にとっての貴重な技術的栄養分として、テクノスフィアの代謝内にとどまることができるような人工素材でつくるか、どちらか2つの方法でやっていけばいい。

 

ただ現状、循環システムを創る際の一番大きな障害は、使い終わった製品が利用可能な素材として、回収できないようにデザインされていることです。

昔の革靴は植物抽出の安全な薬剤を使ってなめしていました。用済みとなった靴は捨てても生分解されたし、燃やしても問題ありませんでした。しかし効率化の結果、現在はなめし剤に安価なクロム性のものが利用されています。いまの革靴は燃やすと有毒ガスが出るようになり、生分解もされなくなりました。

革靴は燃えないゴミに分類されているのはご存知でしたか?つまりそういうことですね。

もともとは革靴は「自然的栄養分」として処理可能だったが、いまは自然的栄養分として使えない「燃えないゴミ」になってしまったわけです。

 

製品が自然的/技術的栄養分として利用できないようになっているので、適切な「リサイクル」が浸透していないというのが現状。製品が「ゴミ」になるまでの期間を延ばす「ダウンサイクル」しかできていません。

現状、ダウンサイクルだと費用もかかるので、再利用しようとするより、新しく作るほうが安く済むようになりました。

企業も利益を出すため、ちょうど買い替えタイミングを見計らって製品寿命が来るように作られ、新しい製品の商品が進むように仕向けられている。

使い捨てが当たり前になり、どんどん「ゴミ」が増えていきます。

【製品ではなく、サービスを得ればゴミはなくなる】

自然的栄養分と技術的栄養分をしっかり分別することができれば、テクノスフィア(技術的循環)の中で「アップサイクル」して高い品質を維持しながら再利用・循環させることができます。

 

そこでマクダナー氏が提唱しているのは「サービス製品」の概念。

製品をサービスと捉える概念で、例えば、テレビそのものを購入するのではなく、「テレビを1万時間視聴する」というサービスを購入するという考え方です。

テレビを購入→テレビの寿命が終える→素材に解体し別の製品もしくはテレビに作り直す→テレビを購入というサイクルができあがります。

製品の素材は再利用もしくは別の製品に作り直すことで循環させ、僕らは製品が提供してくれるサービスを受け取る。「ゴミ」を出さないまま、僕らはサービスを利用することができるというわけです。

そうすれば、違う世界ができあがる。 

サステイナブルなものづくり―ゆりかごからゆりかごへ

サステイナブルなものづくり―ゆりかごからゆりかごへ

  • 作者: ウィリアムマクダナー,マイケルブラウンガート,岡山慶子,吉村英子,William McDonough,Michael Braungart,山本聡,山崎正
  • 出版社/メーカー: 人間と歴史社
  • 発売日: 2009/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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