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太陽エネルギーだけで150万人が生活していた 江戸時代は本当にあった循環型社会

 【江戸時代のすごさ エネルギー量がほぼ0で、150万人が生活できた】

江戸は太陽光エネルギーだけで、100~150万人の人口と最大79㎢の土地を支えていました。世田谷区と杉並区を太陽光エネルギーと人の手で支えていたということになります。

現代の日本人は、便利な社会を動かすためのエネルギー源として、化石燃料だけで毎日一人当たり約10万キロカロリー使っています重油換算でほぼ10リットル、摂氏0度の水1トンを沸騰させるのに必要な熱量です。

半端ないエネルギーコストの差ですよね。現代では重油ほぼ10リットルを使い生活が成り立っていますが、江戸時代はほぼ太陽光と人力で成り立っていたわけです。

 【人力で成り立つ循環型社会=江戸】

江戸時代の人たちは、手足を動かし、衣食住に必要なあらゆるものを植物原料で作っていました。農業や製造など生産活動の動力は、ほとんどが人力で少なめに見積もって95%を占めていました。牛馬による運搬、水車による精米などは利用していたが、ほとんどは手足を動かしての生産です。

また、衣食住に必要な服や住居、家具は植物原料でしたし、陶磁器や絵など工芸品も自然に還る材料で作られていました。

燃料も薪炭を使い、いわゆるバイオマス燃料でした。

 

原料も製造物も燃料もすべて自然に還る。

自然の循環システムの中でうまく生活する、限りなく循環型に近い暮らしだったといえます。

現代は化学化合物を利用することで、原料も製造物も自然の循環システムから外れてしまい、「ゴミ」として溜まってしまっています。江戸時代の暮らしを見ればわかるように、埋め立てないといけない「ゴミ」はもともとありませんでした。現代の産業システムが「ゴミ」を生み出し、ゴミ問題を引き起こしています。

「ゴミ」を生み出す産業システムの現状や、「ゴミ」を生み出さない産業の在り方について書かれた本をこちらにまとめているので、よければどうぞ!

sustainablemj.hatenablog.com

 【現代と比べてほぼゼロな江戸時代のエネルギー効率】

人力によるエネルギー消費量はせいぜい1日1人あたり1000キロカロリー程度(食べる食料の食品エネルギーを上回ることはないため)です。つまり、当時生産に利用されるエネルギー量は1000キロカロリー(人力)+その他(牛馬や水力)ぐらいでした。

 

太陽光のみを「エネルギー資源」として使っていたというわけです。

現代とはエネルギーコストが比べ物にならないほど少ないですね。

人力や太陽光エネルギーだけで産業を回せば、効率は低いのでは?と思う方もいるでしょう。

 

【江戸時代の生産効率の低さとエネルギー効率の高さ】

確かに、江戸時代のような手工業による産業はきわめて生産効率が低いです。紙の製造を例に取るなら、原料になるコウゾという植物を育て、成長した枝を鎌で切って皮をはぎ、複雑な手作業の工程を経てから1枚ずつ人手によって漉(す)いていきます。大きな紙を1分間に何十メートルもの速度で連続して漉くことのできる最新の製紙工場を新幹線とすれば、せいぜい人力車ぐらいの生産力にすぎません。

ところが、エネルギー効率、つまり製造に必要なエネルギーと生産量を比較するなら、江戸時代の産業のエネルギー効率の良さは驚異的でした。

 

現代は生産活動に必要なエネルギー・コストをパッと上げるだけでも、石油、電気、機械などがあり、エネルギー消費量はかなり多いです。単純な比較はできませんが、現代は毎日1人当たり約10万キロカロリーを消費しています。現代に比べると、江戸時代はエネルギーコストがほぼ0で生産活動や暮らしを行っていたといえます。

 【カーボンニュートラルな江戸時代】

江戸時代はカーボンニュートラルな暮らしでもありました。つまり、何かを生産したり、活動を行った際に、排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量であるということですね。それは薪炭がメインの燃料だったおかげです。

化石燃料を燃焼させると、温室効果ガスが大気中にたまり、地球の気温は高まります。地球温暖化については、情報が錯綜し諸説ありますがここら辺は確かでしょう。ときどき、化石燃料を燃やしても地球上のCO2量は変わらないから問題ないという議論を見かけます。

そんなことはありません。化石燃料はもともと動植物の死骸が堆積してできあがったので、炭素で構成されているのは事実です。でも、化石燃料はCO2ではありません。重要なのは、CO2が温室効果ガスであり、大気中に増えると気温が上昇するということ化石燃料を燃焼すれば、C(炭素)やO(酸素)の原子量は変わりませんが、分子であるCO2の量は変わります

 

薪炭を燃料に使えば、薪炭を燃焼することで大気中にCO2は放出されますが、新たな別の植物がCO2を吸収します。CO2は大気中と植物の体内を循環するので、カーボンニュートラルな状態だといえます。

 【便利さを追い求める社会 社会レベルの断捨離をする転換期】

江戸時代は生きるのに直結する仕事がほとんどでした。基本的に衣食住にかかわる仕事で、ほかに芸術や娯楽、行政関連などありましたが、現代と比べるとめちゃくちゃ少ないです。逆に言えば、いまは生きるのにそれほど必要ないことに過剰に資源・エネルギーをかけているといえます。

例えば、ペットボトルは便利ですが使い終わればすぐゴミになります。海洋魚の量より海洋のプラスチックごみのほうが多いとまで言われているほど、ゴミの量が増えている中、あえてペットボトルを使う理由はあるでしょうか。水筒を使えばいいのでは?と思います。

一昔前に断捨離が流行りましたが、暮らしにそれほど必要のないもの、優先順位の低いものを見極める時期、社会の在り方レベルで「断捨離」をする転換期にいるのではないでしょうか。

 

◆江戸時代をエネルギー効率や循環型社会としての側面で説明してくれています

江戸時代はエコ時代 (講談社文庫)

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