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テラフォーミングに見える資本主義の本質 「拡大」から「持続可能」へシフトしよう

 

惑星の環境を変化させ、人類の住める星に改造する「テラフォーミング」。わりとSFで見かけるアイデアですが、あらすじとしては、汚染などで地球に住めなくなり、新天地を求め他の惑星の探索に出かけるというものが多いです。ここ最近では漫画『テラフォーマーズ』でも取り上げられていました。

 

実現可能かどうかは置いておいて、地球が環境汚染で住めなくなったときのために、ほかの惑星に移住しテラフォーミングしようという動きがあります。

natgeo.nikkeibp.co.jp

めちゃくちゃ不思議に感じます、こういう考え方。

地球で暮らし続けることができないのに、ほかの惑星で暮らし続けられるわけがないと思います。地球は太陽光との距離感、大気の成分、多様な生態系などなどが複雑なバランスで成り立っている巨大なシステムです。こんな環境はほぼ奇跡といえます。

ほかの惑星を探すより先に、どうやって地球で暮らし続けることができるかを考えるべきだと思います。

現代は、「無ければ開拓・拡大」という価値観が強いです。国や民族間で程度の差はあれど、無ければ新たに利用できる資源、エネルギー、場所を開拓・拡大するという考え方は現代社会で多数派です。

これは資本主義の在り方が大きく影響しているのではないかと思います。歴史、文化、宗教、自然観など要因はいろいろあると思いますが、僕らの生活の中心にある経済もかなり影響を与えています。

【資本主義の「もっと先へ」精神

いまの資本主義の根底に、「もっと先へ」という考え方があります。資本主義は資本を投下し、利潤を得て資本を自己増殖させることが基本的な性質です。投資することで資本を増大させる資本主義は、投資先が必要なわけです。投資が隅々にまで行き渡ってしまえば、投資の余地がなくなります。そこで新たな投資先を見つけるためにどんどん拡大を目指すんですね。

16世紀から17世紀のイタリア・ジェノヴァでは、投資がすでに隅々まで行き渡ってしまい、利潤を生みだすような投資先がありませんでした。当時、ワインのためのブドウ畑がいっぱいで山の頂上までブドウ畑があるほどでした。そこには利潤を生みだせるような投資先(ブドウ畑)がありません。また、17世紀にはスペインが南米から掘り起こした銀をイタリアの銀行に預け、大量の銀がイタリアに集まります。マネーは有り余っているが、投資先がない状況です。だんだんと資本が利潤を生みださなくなり、利子率が2%を下回るようになりました。

【拡大の歴史を繰り返す資本主義】

現代も同じ道を歩んでいます。

製品やインフラが世界各地に広まるようになり、投資先が無くなってきています。いま成長途中の発展途上国に投資をしていますが、いずれ経済成長にも終わりが来るので、いつまでも投資できません。リアルな地理的・物的空間(=実物経済)で先進国は高い利潤を得ることができなくなってきたというわけです。

そこで、アメリカを中心に「電子・金融空間」を創り出し、新たな投資先を作りました。そこはITと金融が結合して作られた空間で、瞬時に資本を海外に移動させることができるようになりました。資本は瞬時に国境を越え、どの国にいてもキャピタルゲインを稼ぎ出すことができます。

これまでは、地理的・物的空間(=実物経済)つまりリアルの世界で投資を行い、利潤を得ていました。しかし、リアル世界で投資先がなくなりつつあるため、「電子・金融空間」を作り新たに投資をできるようにしたわけです。

こんな動きを「空間革命」といいます。新しい空間を創造して、高い投資機会を見出そうとすることですね。資本主義の歴史は投資する空間を拡大させる歴史です。中世ヨーロッパでは陸の投資先がなくなると、海に投資先が拡大しました。当時、航路の覇権を握ったイギリスが世界の覇権を取っています。同じような歴史を繰り返しているんですね。

そして、リーマンショックがあったように、空間を作り投資先を作るのに限界が来ています。レバレッジをかけ、お金でお金を作っても、そこには実体がありません。バブルの生成と崩壊を繰り返すだけです。

 【「拡大」から「持続可能」へシフトしよう】

とまあ、ここまで資本主義の性質について簡単に触れました。

「無ければ開拓・拡大」「もっと先へ」の価値観は、かなり僕らに浸透しています。

でも、このまま拡大を追い求めるだけでいいのでしょうか?いまは僕らが持続可能な暮らしを実現できるかできないかの瀬戸際にあると思います。

本当にそれほど拡大だけを追い求めなければいけないでしょうか?

人が幸せに暮らすためには、お金や便利な生活も大事ですが、ほかの豊かさも大切ではないでしょうか。

江戸は太陽光エネルギーだけで150万人が生活していた循環型社会でした。

sustainablemj.hatenablog.com

拡大だけではなく、地球を尊重し持続可能性を高める方向性にシフトすることが必要です。

具体的にどんな方向にどうシフトしていくかは、固まり次第ブログにのせます!

資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)

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